人は、転がることや歩むことを移動する手段とし、生きるための基本としている。
 その移動する手段は、人が人として人間らしい生活をつくり、社会参加するためには欠くことのできない基本的な条件である。
 故に、現代に生きることにおいて、基本的な移動手段である公共交通機関は、全ての人々にとって必要不可欠なものになっているのである。
 公共交通機関とは、すべての人々を対象に、現代における移動手段として運行する交通システムを言うのであり、これはすべての人々にとって利用(消費)する権利が保障されていなければならないものである。
 障害者や高齢者もまた独立(自立)した日常生活を営む市民であり消費者の一員であるとすれば、当然にその権利が保障されていなければならないはずである。しかしながら、市民にとってもっとも身近な公共交通機関である定期路線バスは、機関交通の機能として、役割の重大性が増大しているのにもかかわらず、構造上、ある人にとっては利用するに不便であり、ある人にとっては全く利用できないものとなっているのが現状である。このとことは、国連も言う「障害を持っている人たちの完全参加と平等」を実践することに向けて、一方的にその権利と機会を奪っているのであり、現行の路線バスはもはや誰にでも利用できなければならないという公共交通機関としての機能を失い、現代における差別を作り出している。
 ここに現代の差別を取り去るテクノロジィ本来の発想と方向性が、具体的な行動として、誰でも乗れるパーフェクト・バス(リフト付き)路線バスとして、日本の国土全域に走らせることを主張するのである。
 以上の主張に賛同する市民の一人一人や各種団体の有機的なつながりを基に、21世紀の公共交通機関を創る「パーフェクト・バスを走らせる会」をここに結成し、その運行実現にむけて全国的な運動の拡大推進を決意したのである。

1989年9月5日

パーフェクト・バスを走らせる会
代表 長橋栄一 

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